日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R2-14
会議情報

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
硫化鉄ナノ粒子から黄鉄鉱への結晶構造変化
*佐野 喜成興野 純髙木 壮大
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

海洋底の堆積層では,H2SがFe2+と反応することで硫化鉄ナノ粒子が生じている.硫化鉄ナノ粒子は黄鉄鉱の前駆物質として知られるが,相変化に伴う構造変化プロセスは未解明である.そこで本研究では,硫化鉄ナノ粒子が黄鉄鉱へ変化する反応を熱水実験 (120℃) により再現し,相変化の過程と局所構造変化を放射光粉末XRD測定及びXAFS測定により観察した.合成した硫化鉄ナノ粒子はマッキナワイトのナノ粒子であり,(001) 面間距離が拡張 (5.46 A)していた.マッキナワイトナノ粒子は加熱により粒成長し,(001) 面間距離が縮小 (5.11 A) した.マッキナワイトナノ粒子は,硫黄との反応で大部分が黄鉄鉱へ変化し,グレイガイトも僅かに生成した.またその際,Feの価数が2価のまま安定であることがXANES解析により示された.EXAFSの解析からは,マッキナワイトナノ粒子がFeS4四面体から成り,結晶内部に構造的な乱れを伴うことが示唆された.硫黄との反応で黄鉄鉱へ変化する際には,FeS4四面体がFeS6八面体に変化し,Fe-S結合距離が2.25 Aから2.26 Aへ増加することも示された.

著者関連情報
© 2018 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top