コナガの季節的発生消長に環境温度がどのように影響を及ぼしているかを明らかにするため,卵から成虫羽化まで17.5, 20, 22.5, 25, 27.5, 30および32.5°Cの各温度条件下で飼育し,夏季の高温が個体群の増殖に及ぼす影響について検討した。
卵・幼虫・蛹は,22.5°Cおよび25°Cで生存率が高かった。30°C以上の高温度条件下では死亡率が高かった。産卵数は17.5°Cおよび30°Cの低温および高温条件下で少なかった。卵から成虫羽化までの生存率および羽化成虫の産卵経過,生存率から1雌当りの増殖倍数を計算すると,27.5°C条件下の場合に最も高い値を示し,比較的高温度条件下においても,増殖力はおう盛であることを示した。一方,30°Cでは著しく低くなった。関東以西の暖地では,一般にコナガは夏季に少発生状態で推移するが,夏季の日平均気温は大多数の日において26°Cまでで,30°Cに達する日数はごく限られることから,高温が夏季のコナガ個体群の増殖を抑制している最も大きな要因であるとは考えられなかった。
コナガの発育に及ぼす湿度の影響は認められなかった。