日本応用動物昆虫学会誌
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トビイロウンカ第4, 5回成虫期の飛しょう行動の日周期性
大久保 宣雄岸本 良一
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1971 年 15 巻 1 号 p. 8-16

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抄録

ジョンソン・テイラー式サクショントラップを使って,トビイロウンカの第4, 5回成虫期の飛しょう行動の日周期性を調査した。個体数の多かったツマグロヨコバイの飛しょう行動についても調べ,比較した。
トビイロウンカ成虫は第4回成虫期には夜明け前後と日没前後に飛び立ち,薄明飛しょう,二山型の日周期性を示した。飛び立ち時刻の明るさは朝夕ともに約1ルックスから200ルックスの狭い範囲であった。第5回成虫期には主に低温による飛び立ち行動の抑制によって朝夕の二山型,夕方だけの一山型,昼間型の3種類の日周期性の型がみられた。飛び立ち行動の温度閾値は17.0°C前後であった。また11km/hr以上の風速も飛び立ち行動を抑制した。
一般的に飛び立ち行動には移動飛しょう行動の特徴がみられた。また飛び立った雌成虫は未交尾であって,移動飛しょうは性的未成熟期に起こるものと思われる。
両成虫期とも,前半には雌が多く,後半には雌が多く飛び立つ傾向であったが,全体では性比は44.1%で雄の方が多かった。
ツマグロヨコバイは日没後のみ飛び立ち,その時刻の明るさは0.1から20ルックスの範囲であって,トビイロウンカの薄明飛しょう型と比較して,むしろ夜行型に近かった。また12km/hr以上の風速も飛び立ち行動を抑制した。

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