日本農芸化学会誌
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グアバ葉熱水抽出物のdb/dbマウスにおける抗糖尿病効果およびヒト飲用試験による食後血糖値上昇抑制効果
出口 ヨリ子長田 邦子内田 和美木村 広子芳川 雅樹工藤 辰幸保井 久子綿貫 雅章
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1998 年 72 巻 8 号 p. 923-931

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抄録

グアバ(Psidium guajava L.)は日本や亜熱帯地方で民間的に糖尿病や下痢止めに用いられている.グアバ葉の熱水抽出物(GvEx)の抗糖尿病効果を調べるために,動物やヒトへの投与実験を行った.これに先がけて,in vitroにおいてマルターゼ,シュクラーゼ, α-アミラーゼの糖類分解酵素活性の阻害作用を調べた.GvExはこれらの酵素活性を胆害したが,その中でα-アミラーゼの阻害が他の二つの酵素阻害より強いことが示された.正常マウスへのマルトース,シュクロース,可溶性デンプンの負荷試験では, GvEx投与により血糖値の低下が認められた.また,糖尿病性腎症を含む糖尿病の病態を示す糖尿病モデルマウス(C57BL/KsJ, db/db)へGvExを7週間経口投与を行った結果, GvEx非投与の対照群に比べて, GvEx投与群ではHbA1c%と腎臓メサンジウム基質の肥厚を示す糸球体数の有意な低下が認められた.
グアバ葉からグアバ茶を調製し,ヒトへの飲用試験を行い食後血糖値への影響を調べた.年齢40歳以上, BMI 22.0以上の対象者ではグアバ茶飲用により食後の血糖値の低下が認められた.これらの結果からGvExは糖の消化を抑制することにより,食後血糖値の上昇を低下させ,結果的に糖尿病の進展を遅らせることが予想された.

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