1990 年 96 巻 4 号 p. 185-204
azuletil sodium(AZE)の一般薬理作用を検討した.AZE100mg/kg,P.o.は,マウスを用いての一般症状,自発運動量,pentobarbital睡眠,および正常体温に対しては影響を及ぼさず,その他抗痙攣作用,鎮痛作用および筋弛緩作用はみられなかった.しかしAZE300mg/kg,p.o.は,一般症状で体緊張を伴う歩行障害を示し,その他では自発運動量および電撃痙攣を軽度抑制した,自発脳波に対してはAZE30mg/kg,i.v.まで,影Aを及ぼさなかった.また,鎮痛作用の検討でAZElOOおよび300mg/kg,p.o.は用量依存的に酢酸writhingを軽度抑制した.AZEは10-5g/mlまでモルモットの回腸および気管ならびにラットの輸精管および子宮の各種アゴニストの収縮に対して影響を及ぼさなかったが,3×10-4g/ml以上で回腸のserotonin収縮を,3×10-5g/ml以上で子宮のoxytocin収縮を抑制した.ウサギ回腸およびラット子宮の自動運動に対しては,3×10-4g/ml以上で抑制した.犬の呼吸,血圧,心拍数,心収縮力,心電図,気道内圧,大腿動脈血流量および冠動脈血流量に対して,30mg/kg,i.v.以上で,血圧の下降もしくは上昇,呼吸換気量および呼吸数の増加,冠動脈および大腿動脈血流量の増加を示した.しかし,AzE300mg/kg,p.o.は無麻酔ラットの血圧,および心拍数に対してほとんど影響を及ぼさなかった.AZEは10-4g/ml以上の濃度ではモルモット右心室乳頭筋および左心房の収縮力を増加させた.AZEは100mg/kg,p.o.以上で軽度の消化管輸送能の促進作用を示した.AZEは300mg/kg,p.o.まで,尿量尿中電解質排泄,血糖値およびプロトロンピン時間に影響を及ぼさなかった.以上のことから,本実験で検討したAZEの一般薬理作用に関する諸作用は臨床用量:に比べて高用量より発現し,これらの作用が臨床適用時に障害となる可能性は少ないと考えられる.また,水溶性azuleneと比べてもその作用に著しい質的・量的差異は認められなかった.