日本薬理学雑誌
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2腎型腎性高血圧ラットにおけるMK-421およびCaptoprilの単回および連続経口投与による降圧作用とレニン・アンジオテンシン系に対する抑制との関連
大村 一平牧 栄二成瀬 友裕池田 宜司浅見 照美佐川 直敏
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1985 年 86 巻 4 号 p. 303-313

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抄録

2腎型腎性高血圧ラット(2K-RHR)におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるMK-421およびcaptoprilの単回および連続経口投与による血圧下降作用とレニン・アンジナテンシン系に対する作用との関係を知るために,血漿および組織中のACE活性に対する抑制効果ならびに血漿レニン活性(PRA)に対する効果を調べた.MK-421(1および3 mg/kg)およびcaptopril(3および10 mg/kg)は単回投与により,2K-RHRの血圧を用量依存的に著しく抑制した.腎および大動脈のACE活性に対する抑制効果の時間的推移は降圧効果と相関したが,血漿ACEに対する抑制効果は減衰が速く,降圧効果と相関しなかった.比較に用いた正常血圧ラットにおいて,両ACE阻害薬のこれら高用量の単回投与は降圧作用を示さなかったが大動脈,腎および血漿の各ACE活性を有意に抑制したが,2K-RHRにおける抑制効果に比べ軽度であった.MK-421(3 mg/kg/day)およびcaptopril(10 mg/kg/day)は3週間の連続経口投与期間中,著明な安定した降圧効果を示し,最終投与後の腎および大動脈のACE活性は強く抑制されたが,肺のACE活性は変化しなかった.一方,血漿ACE活性は単回投与の成績とは異なり,著明に上昇したが,血中angiotensin IIは有意に抑制された.2K-RHRのPRA値は正常血圧ラットのPRA値の約10倍の高値を示した.両薬物の単回および連続投与初期に2K-RHRのPRAは著明に上昇した.以上の成績より,2K-RHRにおける両ACE阻害薬の血圧下降作用には,血漿ACE活性に対する抑制効果も当然関与しているが,血管あるいは腎などの局所組織部位におけるACE活性に対する抑制作用が強く関与していると示唆される.

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