日本薬理学雑誌
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特集:医薬品評価に活用できる新しいアレルギー疾患モデル
IL-33に着目したマウス気管支喘息モデル
奈邉 健水谷 暢明松田 将也
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2017 年 150 巻 2 号 p. 78-82

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抄録

IL-33は,気道に抗原が暴露されることにより,気道上皮細胞やマクロファージ,樹状細胞などの免疫系の細胞より産生され,肥満細胞,Th2細胞のみならず2型自然リンパ球(type 2 innate lymphoid cells:ILC2)の細胞膜上にあるIL-33受容体ST2に結合し,これらの細胞を活性化して,Th2サイトカインIL-5およびIL-13を産生する.したがって,IL-33はTh2型炎症(2型炎症)反応を促進し,アレルギー性気道炎症の病態を増強する分子であると考えられている.一方,アレルギー反応を抑制するとされる制御性T細胞(Treg)もST2を発現し,アレルギー性気道炎症に影響を及ぼすとされる.また,IL-33の作用はステロイド抵抗性喘息の病態に関わる可能性も示唆されている.一方,気道アレルギー反応時におけるIL-33産生の機序に関しては明らかではなく,気道に侵入した抗原が抗原特異的にマクロファージや樹状細胞を活性化してIL-33を産生することを示す成績が得られつつある.これらのIL-33の作用や産生の機序の解析は,アレルギー性気道炎症の難治化に歯止めをかける薬物を開発することに繋がると考えられる.

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