日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
特集:炎症を機転とした恒常性維持機構の破綻―免疫系細胞、がん組織、消化器系、循環器系からみた炎症性疾患の病態と制御―
炎症制御における肥満細胞の役割
山崎 愛理沙中村 達朗大森 啓介村田 幸久
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 149 巻 5 号 p. 204-207

詳細
抄録

肥満細胞は免疫細胞の1つであり,顆粒を大量に含むその形態学的特徴からこの名がつけられた.この細胞は,ヒスタミンなどの炎症性物質を大量に放出(脱顆粒)することで,アレルギー性疾患の発症に関わる主な免疫細胞として長らく認識されてきた.しかし,近年研究が進み,肥満細胞は脱顆粒後に起こる種々のサイトカインやケモカイン産生・放出を通して,アレルギー性疾患以外の様々な疾患の発症や進行にも関与することが分かってきた.我々の研究室では,現在アレルギー疾患の他,創傷治癒,急性炎症,がんの発症や進行において,この肥満細胞が果たす役割の解析を進めている.特に肥満細胞が脱顆粒後に大量に産生する脂質メディエーターであるプロスタグランジンD2の役割について焦点をあてて研究を進めてきた.本稿ではその一部を紹介したい.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top