日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
うつ病およびパニック障害治療薬塩酸セルトラリン(ジェイゾロフトTM錠25 mg,50 mg)の薬理学的,薬物動態学的および臨床学的特徴
原田 喜充小原 教仁今枝 孝行
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2006 年 128 巻 6 号 p. 417-424

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抄録

塩酸セルトラリン(ジェイゾロフトTM錠25 mg,50 mg)は,選択的セロトニン再取込み阻害薬に分類されるうつ病およびパニック障害治療薬である.本薬は脳内セロトニン神経のシナプス前終末部におけるセロトニン再取り込みを強力かつ選択的に阻害する薬物であり,脳内のシナプス間隙におけるセロトニン濃度を高めて持続的にセロトニン神経伝達を亢進するものと考えられる.ラット脳シナプトソームを用いたin vitro試験において,本薬はセロトニン取り込みに対し強い阻害活性および高い選択性を示した.健康成人男性を対象とした第I相試験において,本薬の薬物動態は臨床用量において線形性を示すことが確認されている.本薬は主に肝臓で代謝されるが,薬物相互作用のリスクが少ないことがin vitro試験やヒトにおける薬物相互作用の検討試験から示されている.本邦ではうつ病およびパニック障害を対象としたプラセボ対照ランダム化治療中止試験が臨床試験として実施され,いずれの疾患に対しても本薬の有効性が示され,また本薬による主な有害事象は,悪心,傾眠等であり,臨床使用する際に,特に問題となるものは認められなかった.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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