日本薬理学雑誌
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本邦産植物カギカズラおよびチョウジソウに含有されるインドールアルレカロイドの薬理学的研究
尾崎 幸紘
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1989 年 94 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

本邦産植物のカギカズラおよびチョウジソウから得られたインドールアルカロイドの hirsutine(HS),hirsuteine(HST),rhynchophylline(RP),isorhynchophylline(IRP),dihydrocorynan-theine(DCT)および β-yohimbine(β-Y)の一般薬理作用を検討した.これらアルカロイドはマウスにおいて緩和な中枢抑制作用を,マウス摘出小腸において弱い非競合性の鎮痙作用を,またラットにおいて血圧降下作用を示した,特に,β-Yにより起こされる血圧降下作用はこれらアルカロイドのなかで最も強く,また持続した.β-Y には norepinephrine の昇圧作用に対する抑制作用が認められたので,β-Y による血圧降下作用には,一部末梢血管におけるα-adrenoceptor の抑制による血管払張作用が関与することが考えられた.HS および β-Y はマウスの水浸拘束ストレス胃エロジオンの発生を抑制した.HS はマウスにおいてアコニチンにより,またモルモットにおいてウアバインにより誘発される不整脈を抑制した.HS の抗不整脈作用の効力はインドールアルカロイドのアジマリンとほぼ同程度であった.HS には isoproterenol の降圧,頻脈作用に対する抑制作用が認められなかったことから,HS の抗不整脈作用には β-adrenoceptor の抑制作用の関与は少ないことが考えられた.

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