2018 年 44 巻 4 号 p. 229-235
流動層の操作において分子量が小さなガスから大きなガスに流動化ガスを切り換えるとチャネリングが発生し,一時的な非流動化が起きる.原因はエマルション相と気泡との間の非等モルガス交換によってエマルション相のガス速度が流動化を維持するために必要な速度より小さくなるためである.この現象の程度に影響をおよぼすのはそれぞれのガスの拡散速度の差であるが,ガス切り換えの際に非流動化が起きる可能性を事前に評価するために,本研究では粒子径および粒子密度を変化させた実験により,現象が起こる可能性のある粒子物性の範囲を明らかにした.ガス切り換え後,チャネリングによって圧力損失が急激に低下し,その後,回復する.この変化を3つの過程に分けて,それぞれの現象に対する粒子物性の影響を求めた.このようにして得られた相関式に基づいて非流動化が起きる粒子物性の範囲を表した.その結果,粒子径が数十μmの流動触媒層ではこの現象が宿命的に避けられないことがわかった.さらに,切り換え後のガス速度を一時的に高くする方法やガス組成を徐々に変化させるような操作が非流動化を避ける,もしくは緩和する方法として有効であることを示した.