2014 年 40 巻 3 号 p. 244-249
多重定常状態を有するtert-amyl methyl ether(TAME)合成の反応蒸留プロセスを対象に,還流比とリボイラ負荷が製品組成や反応部でのTAME合成量におよぼす影響について,モデルベースで検討を行った.多重定常状態出現領域は,定常シミュレーションより,還流比を任意の値で一定として,リボイラ負荷を連続的に変化させた際のTAME組成により確認した.その結果,多重定常状態出現領域は還流比の増加にともないリボイラ負荷の大きな領域へシフトすることがわかった.また,多重定常状態が出現しない領域と出現する領域の反応率の比較検討より,多重定常状態領域内の定常点で反応率が向上する可能性があることがわかった.