2012 年 38 巻 6 号 p. 408-414
プラントアラームシステムは,プラントの監視制御において,オペレータによる異常の早期検知や対応操作を支援するための重要なシステムの一つである.本論文では,プラントで想定される異常発生後に発報するアラームの組み合わせと発報順は不変であるというアラーム発報の最良条件の下で,プラントの監視変数から想定される異常原因を定性的に識別することができるアラーム変数の組み合わせを,プラントのCause–Effectモデルに基づき導出する方法を提案する.発報したアラーム変数の組み合わせに加えてアラーム変数の発報順の情報を利用すれば,より多くの異常原因を識別できる可能性がある.提案手法は,現状のプラントの監視変数により構成できるアラームシステムの識別能力の上限を与えるため,アラームシステムの適正化を進める際の基準となる.提案手法を基本的なプロセスに適用しその有効性を示した.