日本化学会誌(化学と工業化学)
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コロイド溶液から析出したITOガラス上のエレクトロクロミックな酸化バナジウム(V)薄膜
古宇田 康雄吉野 隆子馬場 宣良
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1985 年 1985 巻 6 号 p. 1050-1054

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抄録

特異なエレクトロクロミズム現象を示すV2O5薄膜を,コロイド溶液から作成し特性を測定した。メタパナジン酸塩を陽イオン交換して得られる+パナジン酸溶液は,室温下徐々に縮重合し,粘度の大きい暗赤色コロイド溶液となった。このコロイド溶液をITOガラス上に塗布,乾燥するという簡単な方法で黄榿色のV2O5薄膜を得た。こうして得られたV2O5薄膜を1mol・dm-3 LiClO4-炭酸プロピレン溶液中でカソード分極すると緑色,灰色に,アノード分極すると黄燈色に可逆的に変化するエレクトロクロミズムの挙動を示した。またコロイド溶液から作成した薄膜は,直径10nm,長さ1μほどの繊維状の微結晶がからんだような構造をしており,その間に多量の水(15wt%)を含んでいた。

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