カウンセリング研究
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日本版「たくましさ希求」尺度の作成と信頼性・妥当性の検討
五十嵐 哲也杉本 希映西村 大樹
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2011 年 44 巻 2 号 p. 158-166

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抄録

本研究では,日本版「たくましさ希求」尺度の開発を目的とした。その結果,「行動」「態度」の2因子構造であることが確認され,これは男女ともにほぼ同様の構造であった。構造は原尺度と同様であるが,性差がない点は原尺度と異なっており,文化的な背景の違いがあるのではないかと考えられた。また,本尺度は十分な内的整合性を有しているものの,「行動」において得点が下限値に近く,原尺度より低い傾向にあった。日本における「行動」は,筋肉増強にかかわる具体的問題行動を指す可能性が高いと示唆された。妥当性については,性差や専攻による差から十分な併存的妥当性が得られた。収束的妥当性については,身体イメージ,自尊感情,自己愛傾向,性役割意識との関連から導き出された。弁別的妥当性については,「行動」との間にのみ,摂食障害傾向と弱い関連性が認められ,本尺度が痩せ志向とは異なる概念を測定している一方で,摂食障害傾向と行動的共通性があるという予測に一致していた。以上より,本尺度の有用性が実証された。今後,項目表現の再検証を行うこと,文化による違いを解明すること,問題傾向群の弁別に適用可能かどうかを明らかにすることが求められる。

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© 2011 日本カウンセリング学会
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