日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: T2-1
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学術講演集原稿
福島県の森林における放射性セシウムの移行と林内空間線量率の時間変化傾向
*加藤 弘亮恩田 裕一久留 景吾河森 歩小松 義隆
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抄録

本研究では、林野庁が平成23年度に、原子力規制庁が平成26年度に取得した広域・多地点の林内空間線量率データを統計解析するとともに、平成28年度に前述の測定地点のうちの100箇所で実施した林内空間線量率の再測定結果を併せて解析することにより、樹種の違いと林内空間線量率の時間変化傾向の関連性を調査した。林内空間線量率の低減速度は、平成23年から平成26年の低減率を比較すると、スギ林で33%と物理減衰を仮定した低減速度(46%)よりも小さく、一方で広葉樹林(52%)やアカマツ林(58%)では物理減衰と同程度かわずかに早い低減速度を示した。平成26年から平成28年の低減率を比較すると、いずれの森林でも物理減衰(25%)よりも早い低減が認められた。スギ林の林内空間線量率の低減速度は36%で、平成23年から平成26年の期間と比較すると林内空間線量率の低減が早くなったことが示唆された。一方、広葉樹林(34%)やアカマツ林(46%)では、平成23年から平成26年の期間と同様の変化傾向が認められた。以上の結果から、原発事故から6年が経過し、スギ林では近年の林内空間線量率の低減速度は、事故初期に測定された傾向と比べて変化していることが示唆された。

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