日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1A039
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防災部門
スペクトル解析を用いたカラマツ林の蒸発散特性の解析
*中坪 稔太田 岳史小谷 亜由美
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抄録

タイガ林は、現在地球温暖化の影響が顕著に現れており、森林と地球温暖化の関係を考える上で重要である。本研究では、東ユーラシアにおけるタイガ林の代表的な樹種であるカラマツが優占する森林の観測データを用いて、潜熱フラックスと環境要素の結びつきの強さの時間変化についての解析を行った。解析の手法としてウェーブレット変換を利用して、日内変動から年々変動までの複数の時間スケールにおいてスペクトル解析を行い、日本、東シベリア、モンゴル北部の森林で地点比較を行った。
 全地点において日内変動以下のスケールでは短波放射、大気飽差の影響が大きく現れ、長期の時間スケールになるにつれ気温の影響が大きくなるという共通の結果が得られた。しかし、それぞれの環境要素の動態は地点ごとに大きく異なるものであったため、潜熱フラックスへの影響の大きさや時間変動に地点間で違いが見られ、特に日本の森林とそれ以外においてその違いは顕著なものであった。これは、東シベリアやモンゴル北部が大陸性の気候であり、日本のものと大きく異なることやそれにより生じる環境条件の違いが反映されたものであると考えられる。

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© 2015 日本森林学会
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