日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: F08
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森林水循環・フラックス研究における長期観測の意義
東シベリア北方林における全生態系と下層部の植生変化
*斉藤 淳志小谷 亜由美太田 岳史飯島 慈裕マキシモフ トロヒュームコノノフ アレキサンダー
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抄録

東シベリア地域のカラマツ林タワー観測において、2004年以降での表面土壌の湿潤化が報告されている(Ohta et al.,2008)。土壌湿潤化の持続に伴って広範囲でのカラマツの変色や枯死が起こり(Iwasaki et al.,2010)、2007年付近より下層植生の増加が起こったという報告もある。このような急激な環境変化前後での、潜熱フラックスや気象要素の値を比較し、各値がどのように変化したのか検討を行った。
東シベリアのカラマツ林タワー観測サイトでの、2005年以降に観測された潜熱フラックス、気象要素を解析に用いた。下向き短波放射量の林冠透過率の値について、2008年以降の展葉期において増加していることが分かった。これは上記のような、カラマツ枯死の影響だと考えられる。林冠透過率増加に伴い、カラマツ林上層部からの潜熱フラックスは低下し、下層部からの潜熱フラックスは増加した。また2009年以降は大気飽差の増加も見られ、上層部での気孔コンダクタンス低下によって上層部潜熱フラックスの低下が、下層部での地面蒸発増加によって下層部潜熱フラックスの増加が、それぞれ促進されたと考えられる。

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© 2013 日本森林学会
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