主催: 社団法人 照明学会
夜間に地震災害が発生した場合、円滑な避難行動には避難路の明かりの確保が重要である。近い将来の発生が確実視されている東南海・南海地震では広域停電が発生し、1000万人以上が停電の影響を受けると想定されている。また、津波災害によって大きな人的被害が発生すると予測されているが、住民の災害に対する備えなど防災意識の高まりによって減災が可能であるとしている。しかしながら、夜間屋外避難時の明かりの確保については法的根拠ないため、地域によってその設置状況に大きな差異が生じている。そこで、強い地震動や3m以上の津波が予測される地域である防災対策推進地域や同強化地域の地方自治体を対象に、屋外防災照明システムの設置状況ついてアンケート調査を行った。その結果、地域防災計画において停電の発生は想定しているものの、予備電源をもった街路灯を設置する自治体は少なく、さらに、自発光式、蓄光式、再帰反射材など停電時にも視認性の高い誘導標識や避難所案内地図などの設置は半数あまりで、夜間停電下の避難に支障が出る可能性が高いことがわかった。その要因として、屋外防災照明システムの設置に関する法的根拠の欠如が示唆された。