Cardiovascular Anesthesia
Online ISSN : 1884-7439
Print ISSN : 1342-9132
ISSN-L : 1342-9132
講座
小児心臓手術後のNasal high flow therapyの現在と将来への展望
塩路 直弘岩崎 達雄清水 一好金澤 伴幸川瀬 宏和木村 聡黒江 泰利佐藤 明森松 博史大月 審一笠原 慎吾
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 22 巻 1 号 p. 45-48

詳細
抄録

 Nasal high flow therapy (NHFT)は,死腔の二酸化炭素洗い流し効果,規定された吸入酸素濃度の供給,持続陽圧効果などの特徴を有する呼吸補助デバイスである。成人では,NHFTは従来の酸素療法に比べて再挿管率の改善で有利な結果が得られており,小児心臓術後でもその役割が期待される。小児心臓手術後症例には並列循環やフォンタン循環といった特殊な循環動態の症例が含まれる。このような症例では投与酸素濃度や持続陽圧が循環動態に影響を与えるため,小児心臓手術後症例にNHFTを使用する際は病態やデバイスの特徴をよく理解して使用することが望ましい。また,NHFTの応用的な使用方法に,一酸化窒素(NO)とNHFTを併用したNO療法,窒素とNHFTを併用した低酸素療法がある。このようにNHFTは可能性がある呼吸補助デバイスであるが,現時点で小児心臓手術後のNHFTに関するエビデンスは限定されている。今後,小児心臓手術後の呼吸管理に関する新たな臨床研究が行われることが嘱望される。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top