小児歯科学雑誌
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低年齢児の齲蝕発生のリスク因子に関する研究
とくに母親の初産年齢について
尼寺 理恵有田 憲司西野 瑞穗
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2006 年 44 巻 3 号 p. 347-354

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抄録

3歳児の齲蝕発生の要因として,母親の初産年齢が関与しているか否かを検討する目的で,ロジスティック回帰分析を行った。調査対象は,乳幼児歯科保健管理システム“DENT”に保存された徳島県某町のデータベースの,1990年から2001年までに出生した第一子870人である。対象児の母親は,1回以上口腔保健指導を受けており,対象児は1回以上フッ化物歯面塗布の経験がある。ロジスティック回帰分析は,3歳時の乳歯齲蝕の有無を目的変数とし,母親の初産年齢:「22歳以下」「23歳以上」,おやつの回数:「4回以上」「3回」「2回」「0あるいは1回」,おやつの時間の規則性:「不規則」「規則的」,母親の仕上げ磨き:「磨いてないあるいは時々」「毎日」,祖父母の同居:「あり」「なし」,および母親の職業:「あり」「なし」の6因子を説明変数として行った。
単変量解析で齲蝕罹患と相関性のあった母親の初産年齢,おやつの回数および祖父母の同居は,多変量解析でも相関性が認められ,多変量解析によるオッズ比は,母親の初産年齢「22歳以下」が2.451(95%信頼区間:1.623-3.702,p<0,001),おやつの回数「4回以上」が2.638(95%信頼区間:1.314-5.296,p=0.006),祖父母の同居「あり」が1.352(95%信頼区間:1.024-1.786,p=0.034)であった。おやつの時間の規則性,母親の仕上げ磨き,および母親の職業の有無に関しては有意な相関は認められなかった。以上の結果から,母親の出産年齢「22歳以下」は,乳幼児の齲蝕発生のリスク要因であると結論される。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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