小児歯科学雑誌
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地域乳幼児歯科保健管理に関する研究-第3報乳幼児期の健診回数および母親の年齢と齲蝕罹患状態の関連性について-
有田 憲司山内 理恵福留 麗実友竹 雅子山口 公子木村 奈津子栗林 伸行森川 富昭西野 瑞穗
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2004 年 42 巻 3 号 p. 404-411

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抄録

徳島県某町における地域乳幼児歯科保健事業のデータベースを利用して,1歳6か月から3歳0か月の間に本保健事業が提供している4回の保健サービス(歯科検診,口腔保健指導およびAPF歯面塗布など)を受診した小児(250人)と,1歳6か月時の1回だけ保健サービスを受診した小児(412人)の2群に分類した。さらにその2群をそれぞれ母親の出産年齢別(22歳以下,23-28歳,29-34歳,35歳以上)に4分類し,1歳6か月時から3歳6か月時の齲蝕罹患状態について分析し,以下の結果を得た。
1.3歳6か月時の齲蝕有病者率および一人平均齲歯数は,4回受診においては29.6%および114本であり,1回受診での51.9%および4.88本に比べ,有意に低い値を示した(p<0.001)。
2.1回受診において,3歳6か月時の齲蝕有病者率は,母親の出産年齢が22歳以下の群は75 .0%で,その他の年齢群より有意に高い値を示し,母親の年齢は乳幼児期の齲蝕有病者率と関連性の有ることが認められた。
3.4回受診における3歳6か月時の齲蝕有病者率および一人平均齲歯数は,いずれの母親の出産年齢群においても差は認められず,全ての出産年齢群において1回受診より低値であることが認められ,母親の年齢の影響は受診回数を増やすことにより軽減できることが認められた。
以上の結果から,1歳6か月から3歳6か月の間において6か月ごとに口腔保健指導およびAPF歯面塗布等の保健サービスを実施することは乳幼児齲蝕の予防に有効であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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