Medical Imaging Technology
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特集/システム開発論文
磁気刺激治療ナビゲーションのためのステレオ画像計測による3次元トラッキング
安室 喜弘荻野 達也冬木 正彦西川 敦関野 正樹松崎 大河細見 晃一齋藤 洋一
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2012 年 30 巻 3 号 p. 143-149

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抄録

難治性疼痛は,薬物治療で効果を認められない場合が多く,糖尿病や脳卒中など,その原因も多岐にわたる.脳や脊髄に直接電気刺激を送る方法は侵襲的で敬遠されがちである一方,経頭蓋磁気刺激は,体外から磁気刺激を行うため,非侵襲的処置で除痛効果が得られ,期待されている.この治療には,大脳一次運動野の最適刺激位置を患者ごとに特定し,これに磁場が当たるようにコイルを位置合わせする必要があり,専門医が頭部MRIを参照しながら治療を行う.現行の位置合わせには,反射マーカを使った汎用の3次元位置計測システムが多用されることから,診察のたびに,医師はマーカの付設と初期位置合わせの煩雑な作業を強いられ,患者は身動きが許されない.本研究では,反射マーカの代わりに,画像情報を積極的に利用した単一のステレオカメラで,異なる3次元計測法を併用することにより,患者,MRI,コイルの三者の実時間位置合わせを行う手法を提案する.提案手法により,初期位置合わせを自動化し,患者に対して非拘束な状態で磁気刺激治療に必要な位置決めが可能であることを,実装と実験に基づいて確認した.

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© 2012 日本医用画像工学会
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