米の生産調整政策下における水田利用状況を明らかにするために, 農業経営体および農業集落の各基盤条件下における生産調整に係わる水田の利用状況を, 都道府県単位で分析した.その結果, 水田率, 経営規模等, 地域の伝統的な農法との関連性が深いと考えられる基盤条件によって, 生産調整に係わる水田の利用状況に違いが見られることが明らかになった.特に, 本論では, 生産調整政策上, 転作作物として奨励されている「労働粗放型作物」への水田転作が成立している地域において,(1) 水田率が高く,(2) 経営規模が大きく,(3) 圃場整備率が高いといった, 基盤条件の共通性が明らかになった.また, そのような基盤条件が存在しない地域において, 生産調整に係わる耕作放棄地が多く発生していることも明らかになった.