農業水利施設高度利用事業によって農業水路の親水機能を発現した滋賀県甲良町北落地区を対象に,現在の住民の農業水路に対する選好性・非選好性を決定する要因を解明することを目的に,評価グリッド法を用いたインタビュー調査を行った.その結果,選好性・非選好性の決定に影響を及ぼす要因は,水路が存在すること,水路への入りやすさ,景観を配慮した整備の程度,水路のコンクリート化の程度,水量,生物種の数,水路の美化に取り組む人の存在,ゴミの量,水のきれいさ/汚さ,ヘドロ・藻類の多さ,水路沿いの道幅,渇水時の水利用の自由度であった.これらの要因が農業用水の地域用水機能や高温の緩和,安全性,住民による水路の管理の程度等に対する判断に影響して,情緒や必要性,利便性,安心感等の評価に影響して選好性や非選好性を決定することが明らかになった.