農業農村工学会論文集
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環境配慮工法が施工された農業水路における魚類の選好環境: 活動期と越冬期の比較
門脇 勇樹久保田 由香佐貫 方城中田 和義
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2017 年 85 巻 2 号 p. II_61-II_70

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抄録

環境配慮工法が施工された岡山県総社市の農業水路において魚類採捕と物理環境調査を実施し, 魚類の生息に重要な物理環境要因を特定した. 本研究では, 調査時期を魚類の活性状況の違いによって活動期と越冬期に区分し, 結果を比較した. 採捕された魚類の種数・個体数・多様度指数を目的変数, 水深・流速・沈水植物の植被率・河床材料を説明変数として重回帰分析を行った結果, 調査水路の魚類の生息に重要となる物理環境として, 活動期では水深多様度・最小流速・平均流速が, 越冬期では沈水植物の植被率・最大水深・平均流速が選択された. したがって, 農業水路の環境配慮区間における魚類の生息にとって重要な物理環境は, 魚類の活動期と越冬期とでは異なることが明らかとなった.

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© 2017 公益社団法人 農業農村工学会
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