農業農村工学会論文集
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研究論文
開水路基礎の支持力照査における部分安全係数の算定
村上 章西村 伸一鈴木 誠森 充広倉田 高士藤村 達也
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2009 年 77 巻 1 号 p. 71-78

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抄録

開水路の浅い基礎の鉛直支持力問題に対して,これまでは許容支持力法が用いられてきたが,性能設計への移行が進められ,部分安全係数を用いた限界状態設計による設計が導入されている.しかし,開水路の支持力照査において,特にTerzaghiの修正支持力公式に適用する地盤パラメータに関する部分安全係数は明らかになっていない.そこで,実際の設計事例における信頼性指標を算定し,これと一致するように部分安全係数を求めた.まず,地盤パラメータの変動係数を公表されているデータから決定し,これに基づいて既設の16開水路の設計事例において信頼性解析を実施した.従来法の許容支持力度と極限支持力度とを照査することにより,妥当な目標信頼性指標を検討した.次に,目標信頼性指標を満足するパラメータの感度と部分安全係数を事例毎に評価した.最終的に,計算された部分安全係数の平均値をもとに,信頼性指標の再計算を行い,最適な部分安全係数を提案している.その結果,γc,tanφそれぞれの部分安全係数は,目標信頼性指標βtによって異なり,βt =3に対してそれぞれ,1.05, 2.50, 1.80となった.また,得られた部分安全係数を用いて実際の事例について信頼性指標の再計算を行った結果,これらの部分安全係数は妥当であることが明らかとなった.

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© 2009 公益社団法人 農業農村工学会
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