2023 年 64 巻 6 号 p. 490-496
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の予後はrituximab導入により劇的な改善をもたらした。しかしながら中枢神経系(CNS)再発をきたすと極めて予後不良であることから,CNS再発をいかに低減させることができるか,重要なclinical questionが残っている。CNS再発予後予測モデルとしてCNS-International Prognostic Indexが同定された。ほかにもいくつかCNS再発高リスク因子の報告はあるが,完全にCNS再発を事前に予測できる因子は明らかではない。CNS再発を低減させるため,実臨床ではmethotrexate(MTX)の髄腔内投与や大量MTX療法などが行われているが,DLBCLのCNS再発予防としての至適治療はまだない。本稿ではDLBCLにおけるCNS再発リスク評価とCNS再発予防に関連する臨床試験結果を中心に概説する。