2023 年 64 巻 4 号 p. 250-254
34歳男性。KMT2A-MLLT1陽性急性骨髄性白血病の第1寛解期で,busulfan/高用量cyclophosphamideを前処置としてHLA適合の妹より同種末梢血幹細胞移植を施行した。Day14に生着し以降は寛解を維持した。重篤な移植片対宿主病も認めなかったが,経口cyclosporin(CsA)10 mg/dayまで減量した移植後6ヶ月の時点で間質性肺炎を発症した。間質性肺炎に対して投与したprednisolone(PSL)の効果は一時的で,間質性肺炎は急速に増悪した。追加精査にて抗MDA5抗体陽性が判明したためcyclophosphamide+PSL+CsAによる3剤併用療法を開始して奏効が得られた。しかし,後遺症の呼吸不全で人工呼吸器管理を要したため,弟と妹より生体肺移植を施行した。3剤併用療法と生体肺移植により呼吸状態の改善を得た抗MDA5抗体陽性急速進行性間質性肺疾患の症例を経験したため,ここに報告する。