臨床血液
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33 (EL3-8A)
GVHDの病態生理と新規治療薬
荒 隆英橋本 大吾
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2022 年 63 巻 9 号 p. 1261-1269

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抄録

近年GVHDの病態生理の理解が大きく進んだ。急性GVHDでは,炎症性サイトカインにより,腸管・皮膚・肝臓などの組織幹細胞が傷害され,GVHDの難治化につながることが示された。また,移植後に腸内細菌叢の異常が生じてGVHDの重症化につながることが示された。慢性GVHDでは,T細胞のみならず,B細胞・マクロファージ・線維芽細胞などが病態形成に重要な役割を果たすことが示されている。急性GVHDの新規治療薬としてruxolitinibやa1-antitrypsinなどの新規薬剤が登場し,慢性GVHDではruxolitinib,ibrutinib,belumosudilなど3つの薬剤がFDAで認可され,さらに,低用量IL-2,抗CSF-1R抗体,チロシンキナーゼ阻害薬などの開発が盛んである。本稿では,GVHDの病態生理に関して最近の進歩を簡潔にまとめ,新規薬剤について解説を行うこととする。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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