2022 年 63 巻 9 号 p. 1242-1251
FMS-like tyrosine kinase 3(FLT3)変異は急性骨髄性白血病(AML)の25~30%に認められる遺伝子変異であり,化学療法に反応する一方,寛解持続期間が短く再発率も高いことから,第一寛解期における同種移植が積極的に考慮される疾患である。2017年に米国でFLT3阻害薬が登場し,強力化学療法との併用,同種移植後の維持療法としての有効性が示されるようになり,予後不良であったFLT3変異陽性AMLも,これらのcombination therapyにより治療成績の改善が得られるようになった。従来は移植非適応と考えられていた高齢者においても,FLT3阻害薬と移植技術の発展により同種移植が可能となりつつある。本稿ではFLT3阻害薬登場後の治療戦略として,同種移植の現状とFLT3阻害薬を用いた移植後維持療法の位置づけについて,国内外の現状と今後の課題を取り上げる。