2021 年 62 巻 8 号 p. 978-987
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia, AML)における再発は,寛解導入および地固め療法後に完全寛解(complete remission, CR)を達成し,長期生存を望む患者にとって主要な障壁である。同種造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation, HSCT)は患者の再発リスクを低下させるが,移植後でも再発は一般的に認められる。AMLの維持療法の多くは,再発のリスクを減らすことを目的にしてきたので,忍容性のある副作用プロファイルを持つ薬剤を見つけることを中心に研究されてきた。今まで,維持療法として細胞障害性抗がん剤を投与した多くの試験では生存の改善は認められなかった。一方,免疫調節やエピジェネティクス,分子標的薬等による最近の研究では有望な結果が現れている。そこで,免疫療法,脱メチル化剤,標的療法(特にFLT3阻害薬を含む)といった様々な維持療法に関して,現在のエビデンスをベースにレビューを行う。また,測定可能な微小残存病変(minimal residual disease, MRD)の評価を組み込んだ新しい戦略についても解説を行う。