臨床血液
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症例報告
薬剤性肺障害との鑑別に苦慮するもステロイドパルス療法が奏効したCOVID-19関連肺炎併発多発性骨髄腫
藤井 高幸斎藤 宏紀井手 史朗大原 慎内田 智之井上 盛浩萩原 政夫久志本 公平西浦 美穂大芦 彩野越智 淳一
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2021 年 62 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

症例は71歳男性。2016年に多発性骨髄腫と診断され初回再発に対して2019年12月よりpomalidomide,bortezomib,dexamethasone療法を計3コース施行後部分奏効が得られていた。2020年3月に38.9度の発熱が出現し胸部CTで両側すりガラス陰影を認めた。抗菌薬投与で改善なく気管支鏡検査が施行されbortezomibによる薬剤性肺障害が疑われた。呼吸状態が増悪したため早期に大量ステロイドが投与され奏効が得られた。後日気管支洗浄液保存検体のRT-PCR検査で新型コロナウイルス陽性の結果が得られ,一連の経過が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるものと判明した。すりガラス陰影を特徴としたCOVID-19の肺野所見は化学療法の有害事象で生じる薬剤性肺障害と見極めが困難である。ステロイド投与の有効性について当院での複数例の経験も含めて報告する。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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