臨床血液
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50 (EL-50)
乳児・新生児白血病
江口 真理子
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キーワード: Leukemia, Infant, Neonate, Fusion gene
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2021 年 62 巻 8 号 p. 1308-1318

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抄録

1歳未満の乳児期に発症する白血病は,乳児期以降の白血病と比較して白血球数の著増,肝脾腫や中枢神経浸潤,皮膚浸潤などの髄外浸潤の高率な合併など,特徴的な臨床像を呈する。乳児白血病ではMLL/KMT2A遺伝子再構成が高率にみられ,その有無が予後を規定する。特にMLL遺伝子再構成陽性の乳児急性リンパ性白血病(ALL)は未だ難治であり,新たな治療法の開発が進められている。生後28日以内に発症する新生児白血病では,急性骨髄性白血病(AML),特に単球系のAMLが多く,B前駆細胞性ALLが続くが,混合型急性白血病や芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍もみられる。t(4;11)(q21.3;q23.3)/MLL-AF4KMT2A-AFF1),t(1;22)(p13.3;q13.1)/RBM15-MKL1,t(8;16)(p11.2;p13.3)/KAT6A-CREBBPMOZ-CBP)の頻度が高く,特にt(8;16)転座を有する白血病の一部は自然退縮することもあるなど年長児にみられる白血病とは異なる性質を有する。本稿では新生児・乳児期に発症する白血病の臨床的および細胞遺伝学的特徴について最近の知見を紹介する。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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