2020 年 61 巻 8 号 p. 945-952
HHV-6Bは同種造血幹細胞移植後にみられる中枢神経系合併症の主要な原因である。HHV-6B脳炎は1)症状,2)脳脊髄液HHV-6 DNA陽性,3)他に中枢神経系症状を来す明確な原因が確認されない,の3条件で診断される。診断においては脳脊髄液の細胞増加は多くの症例で認めないこと,脳脊髄液のHHV-6 DNAには偽陽性があること,辺縁系脳炎所見は発症時には認めないことが多いことに留意する。背景や状況によりHHV-6B脳炎が疑われる場合(臍帯血移植,3週目前後の発症,特徴的症状,低Na血症,免疫反応の先行,ステロイド使用)はPCR結果を待たずに治療を開始する。第一選択はホスカルネット180 mg/kg/dayであり,少なくとも3週間は治療を継続する。現在効果的な予防法は示されておらず,ルーチンでの再活性化モニタリングや抗ウイルス薬の予防投与は推奨されない。