臨床血液
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Symposium 5
日本人Fanconi貧血患者のゲノム解析から得られた知見
森 美奈子矢部 普正矢部 みはる高田 穣
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2019 年 60 巻 6 号 p. 691-701

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抄録

Fanconi貧血は身体の先天異常,進行性骨髄不全,発がんを特徴とする遺伝性疾患である。これまで22個の原因遺伝子が同定されており,これらのコードする蛋白質はいずれもDNA鎖間架橋によるDNA損傷を修復する経路(FA/BRCA経路)に関わる因子である。22個の原因遺伝子の中には遺伝性乳がん卵巣がんの原因遺伝子としてよく知られているBRCA1BRCA2遺伝子なども含まれる。Fanconi貧血患者の原因遺伝子とその変異は多彩であり,臨床症状も多彩である。最近われわれは,100家系を超える日本人Fanconi貧血患者の原因遺伝子とその変異を明らかにした。本総説では,日本人における原因遺伝子と変異の特徴,原因遺伝子と臨床症状との関連性についてわれわれが得た知見をもとに紹介する。さらに,日本人におけるFANC遺伝子キャリアの頻度と発がんリスクについても触れたい。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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