臨床血液
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症例報告
セフメタゾールが原因と特定できた薬剤性溶血性貧血
塩地 夏希水谷 実岡山 麻里子片山 春奈大矢 瑛子関根 隆夫桝屋 正浩
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2018 年 59 巻 7 号 p. 884-888

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抄録

症例は56歳の女性。急性胆石性胆嚢炎で緊急入院し,セフメタゾール・ファモチジン等の点滴が開始され,13日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた。手術2日前から出現した血尿の持続と貧血の進行のため手術翌日に当科に転科。血液検査結果は,Hb 6.8 g/dl,LDH 1,505 IU/l,クレアチニン1.1 mg/dl,ハプトグロビン感度以下であった。直接クームス試験強陽性から,薬剤性溶血性貧血を疑い,投与薬剤を全て中止し,転科当日からステロイド投与を開始した。治療3日目をピークに溶血は改善し5日目にステロイド投与を終了した。血尿出現から21日目に直接クームスが陰転化した。溶血発症時に保存していた患者血清からセフメタゾール結合赤血球に対する抗体が確認された。薬剤性溶血発作が疑われた場合には被疑薬の速やかな投与中止と必要に応じたステロイド投与が重要である。患者血清の保存が薬剤依存性抗体の検出に有用である。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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