2018 年 59 巻 5 号 p. 540-548
急性移植片対宿主病(GVHD)は,皮膚,肝,消化管の少なくとも一臓器に障害が存在し,かつGVHD類似の他の疾患が否定される場合に診断される。上部消化管GVHDを除き,急性GVHDは臨床診断で行われる。生検による病理診断は必ずしも臨床診断と一致しない。各臓器stageをもとに全身gradeを判定するが,その重症度分類は治療反応性や予後を正確に反映している訳ではない。その不完全ともいえる重症度分類を補うべく,GVHDバイオマーカーの同定が精力的に進められている。治療反応性や予後を正確に反映する重症度分類を確立することができれば,急性GVHDの治療を層別化治療へと進化させる可能性がある。