臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
13 (EL1-4A)
再生不良性貧血とクローン性造血
牧島 秀樹
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 59 巻 10 号 p. 1962-1968

詳細
抄録

再生不良性貧血(AA)は自己免疫反応に起因する骨髄不全症候群である。近年のゲノム解析技術の進歩により,AAにおける低形成骨髄は腫瘍性病変ではないものの,クローナルな細胞集団により構成されていることが明らかとなった。AAに伴うクローン性造血は,古典的なX染色体のskewingの発見に始まり,PNH血球の検出,さらにはコピー数解析によるUPD6pの発見および次世代シーケンスによる遺伝子変異の検出により証明されてきた。AAは骨髄異形成症候群(MDS)へしばしば移行するが,AAとMDSのゲノム異常は明らかに異なったランドスケープを呈する。血液疾患のない高齢者にみとめられるクローン造血(ARCH/CHIP)とも共通性はあるものの,やはり異なったゲノム異常が認められる。これらは全て,AAの原因である自己免疫反応からのエスケープがクローン性造血に関与することを示唆している。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top