臨床血液
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Symposium 7
先天性および後天性血友病の診断と治療
日笠 聡
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2017 年 58 巻 7 号 p. 857-865

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抄録

先天性血友病の治療は,近年開発された半減期延長型製剤を用いた治療への過渡期と考えられる。この製剤は標準型製剤と比較して半減期が長いだけで,効果の強さや効果発現の速度が変わるわけではない。したがって,保険適用の範囲内で種々の工夫をすれば,どのような症例にも適応可能と考えられる。さらに,血友病Aの治療薬として,半減期が約30日と長く,皮下投与可能で,インヒビターで中和されない第VIII因子代替二重特異性抗体製剤も現在開発中である。後天性血友病Aは凝固第VIII因子に対する自己抗体が出現し,出血症状を来す疾患であり,近年その診断,治療に大きな変化はない。症状は先天性血友病とは異なり皮下出血と筋肉内出血が主体で,凝固検査でPT正常,APTT延長,第VIII因子活性低下,VWF活性正常,第VIII因子インヒビターが陽性となる。止血治療はバイパス止血療法が主体で,それに加え,インヒビター除去のための免疫抑制療法が必要である。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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