2017 年 58 巻 6 号 p. 619-623
症例は初発時8歳のモンゴル人女児。モンゴルの病院にて急性骨髄性白血病(AML)と診断され,BFM-AML2004 SRに準じた治療をうけた。完全寛解が得られるも,治療薬の供給不足のため維持療法を除く4コースで中断していた。診断後7ヶ月に来日した際にC型肝炎ウイルス(HCV)感染が判明した。診断後11ヶ月に骨髄再発をきたし,その際RUNX1-RUNX1T1キメラ遺伝子が検出された。初発時の治療強度不足とHCV感染を考慮し造血細胞移植ではなく化学療法を選択した。寛解導入療法終了後に寛解を確認し,キメラmRNAも消失した。治療に伴う骨髄抑制によりHCVウイルス量は増加し,骨髄回復期に一過性の肝逸脱酵素の上昇がみられた。全治療経過中,HCVの再活性化はみられなかった。第2再発のリスクが高く,慢性肝炎は肝臓の線維化や肝硬変に進行する可能性があり,AML治療終了後早期のHCVの治療が必要と考えられた。