2017 年 58 巻 6 号 p. 595-600
症例は59歳女性。健診で高蛋白血症を指摘され近医受診,多発性骨髄腫疑いで当科紹介受診した。M蛋白(IgG-λ)を検出し,FDG-PET/CTにて全身性のリンパ節腫脹と腹腔内巨大腫瘤を認めた。骨髄検査では,形質細胞が8.4%,小型リンパ球様の異常細胞が全体の約30%占めた。左鎖骨上窩リンパ節を生検したところ,当初リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)と診断されたが,その後リンパ節の染色体検査(G-band)においてt(14;18)(q32;q21)を含む複雑核型を示し,FISHでIgH-BCL2融合シグナルが90%で陽性であることが判明した。これらの結果をもとに検体を再評価したところ,形質細胞分化を伴う濾胞性リンパ腫と最終的に診断した。当初,病理組織学的にはLPLが疑われたが,染色体検査が確定診断に有用であった。