2017 年 58 巻 12 号 p. 2375-2379
過去5年間当院で急性白血病治療中にフザリウム症を発症した3例を報告する。症例1:70歳男性。再発難治性急性リンパ性白血病(ALL)で発熱と両肺多発結節影がみられ,血液培養でFusarium属を検出,liposomal-amphotericin B(L-AMB)奏効せず死亡。症例2:28歳男性。ALLに対する移植前処置中に陰嚢にecthyma gangrenosum(EG)様の皮疹が出現L-AMBは無効であり,itraconazoleとmicafungin(MCFG)を追加したが,好中球生着せずday 27に死亡。生前提出したEGの培養からFusarium属が検出。症例3:50歳男性。慢性骨髄性白血病急性転化の化学療法中,体幹にEG様皮疹が出現,L-AMB,MCFG奏効せず,死後EGからFusarium属が検出。フザリウム症は極めて予後不良であるがEGに着目することで早期診断につながる可能性がある。