2017 年 58 巻 11 号 p. 2213-2218
Dasatinibの重篤な副作用として,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension, PAH)が挙げられるが,これまで本邦でのまとまった報告はない。当施設においてdasatinibで加療された慢性骨髄性白血病76症例を後方視的に解析したところ,6例で推定肺動脈収縮期圧(estimated pulmonary artery systolic pressure, sPAP)高値を認め,右心カテーテル検査で3例(3.9%)がPAHの確定診断となり,診断確定および疑い症例の5例でdasatinib中止によりBNP低下および症状の改善を認めた。これらの結果から,dasatinibによるPAHは既存の報告よりも高頻度に合併する可能性があり,PAHが疑われた際には速やかにdasatinibの中止を考慮すべきと考えた。