臨床血液
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38 (EL1-17)
造血幹細胞移植後長期フォローアップ専門外来(LTFU)の現状と課題
黒澤 彩子
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2017 年 58 巻 10 号 p. 2111-2123

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抄録

造血幹細胞移植後の急性期の予後は改善し,治療終了後晩期のヘルスケア,生活の質を支持する必要性により大きな関心が寄せられている。移植後,原病の治癒を得た長期生存者においても,移植後2~5年目以降の死亡率は一般人口と比較して高く,また慢性GVHDのほか,臓器障害や内分泌疾患の罹患率が高いことが報告されている。移植後晩期に起こり得るそのほかの問題としては,心理社会的障害,就労困難などによる経済的問題,QOLの低下など,身体面のみならず多岐にわたる。造血幹細胞移植後長期フォローアップ専門外来(long-term follow up, LTFU)の役割は,移植後の晩期合併症のマネージメントをはじめ,身体面,心理面,社会面等の多角的な支持である。本邦では2012年に「移植後患者指導管理料」が保険収載され,以降,LTFUを設立する施設が増えつつある。本邦におけるLTFUの現状と課題について解説する。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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