臨床血液
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臨床研究
骨髄腫関連疾患における二次癌の検討
―関西骨髄腫フォーラムデータベースを用いた解析―
小杉 智柴山 浩彦中谷 英仁木田 亨太田 健介金子 仁臣八木 秀男田中 宏和淵田 真一中谷 綾小林 正行黒田 純也上辻 由里魚嶋 伸彦足立 陽子通堂 満島崎 千尋野村 昌作日野 雅之松村 到谷脇 雅史金倉 譲高折 晃史
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2016 年 57 巻 7 号 p. 839-847

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抄録

新規薬剤により骨髄腫患者の生存が延長すると共に,二次がん発生が問題になっている。今回,関西骨髄腫フォーラム(KMF)データベースを用い,2012年11月~2015年3月に登録された骨髄腫および関連疾患1571例について二次がん発生を解析した。観察期間(中央値31ヶ月)内に血液腫瘍が10例,固形がんが36例に発生していた(5年累積発生率:血液腫瘍1.0%, 固形がん3.7%)。未治療の無症候性骨髄腫およびMGUS症例では,固形がん発生を認める一方で血液腫瘍発生は認めなかったが,累積発生率においては治療例との間に有意差を認めなかった。一方,melphalan, bortezomib, lenalidomideおよびthalidomideの4剤それぞれの投与歴を見た場合,血液腫瘍発生への影響は統計学的に認められない一方,レナリドマイド投与歴のある患者で固形がん発生が多く認められた。より詳細な検討には,本データベースへのさらなる症例数の蓄積と,長期の観察が必要と考える。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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