2015 年 56 巻 5 号 p. 485-490
症例は50歳女性。平成25年6月に白血球増多,貧血,血小板減少を認め,精査の結果,t(16;21)(q21;q21)を有する急性骨髄性白血病と診断。平成26年6月に,CY 120 mg/kg, TBI 12 Gyによる前処置にてHLA-DRB1一座不一致のJMDPドナーより同種骨髄移植施行。Day 55に急性GVHDに対しプレドニゾロン20 mg/dayを投与し漸減していたが,day145に発熱,全身倦怠感,両上肢筋肉痛が出現。血清CK, CKMB, アルドラーゼ,troponin Iの上昇を認めた。筋電図所見では筋原性変化を呈し多発性筋炎と診断した。心電図で頻脈,STの上昇,心臓超音波検査で前側壁壁運動低下を認めた。感染や白血病の再発は否定的であり,慢性GVHDに合併した多発性筋炎および心筋障害と診断しプレドニゾロン40 mg/dayより開始し,著明に症状の改善を認めたため,漸減。現在も再燃なく経過している。