臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
Imatinibおよびnilotinibに不耐容を示しdasatinibで深い分子遺伝学的奏効を得た高齢者慢性骨髄性白血病
栗本 美和永田 明久関口 直宏能登 俊竹迫 直樹
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 56 巻 12 号 p. 2467-2471

詳細
抄録

症例は90歳,女性。白血球増多を指摘され当科紹介となった。骨髄検査で,芽球から成熟好中球まで各分化段階の顆粒球系細胞を認め,染色体分析でt(9;22)(q34;q11.2)を認めたため,慢性期慢性骨髄性白血病(CML), ハイリスク群(Sokal score 1.5)と診断した。イマチニブ400 mg/日で開始したが,消化器症状が強く不耐容と判断し,ニロチニブ400 mg/日に変更した。その後800 mg/日に増量し細胞遺伝学的完全奏効に到達したが,QTc延長,心不全を発症した。ニロチニブを中止し,心不全治療の回復後,ダサチニブ50 mg/日に変更したところ明らかな非血液毒性を認めることなく深い分子遺伝学的奏効を得た。ハイリスク群のイマチニブ不耐容例においても,個々の症例に応じて薬剤を選択かつ投与量を調節し,適切な支持療法を行うことで,深い分子遺伝学的奏効が得られることが示唆された。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top