臨床血液
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症例報告
THP-COP療法寛解後に急性骨髄性白血病を発症したLangerhans cell sarcoma
濱口 孝太橋本 亜香利藤見 章仁蟹沢 祐司柴田 敬典中嶋 千紗早坂 尚貴山田 尚太奥田 敏徳南 伸弥神原 悠輔大島 孝一加藤 淳二
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2015 年 56 巻 12 号 p. 2456-2461

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抄録

症例は86歳,男性。左顎下部,左鼠径部,左大腿前面のリンパ節腫大を指摘され,リンパ節生検にてLangerhans cell sarcoma (LCS)と診断した。また,正球性正色素性貧血を認め,骨髄検査では,芽球の増加と異形成を認めなかったが,G-Band法で20番染色体長腕欠失を認めた。以上より,LCSとidiopathic cytopenia of undetermined significance (ICUS)の併存と診断した。超高齢であることからTHP-COP療法を選択した。6コース施行後に部分寛解が得られ,その後11ヶ月間再燃を認めなかった。一方,ICUSはTHP-COP療法終了11ヶ月後にacute myeloid leukemia (AML)へ進展した。AMLに対する積極的治療は施行せず,発症1ヶ月後に永眠した。LCSは,極めて稀な高悪性度樹状細胞性腫瘍であり,これまで67例が報告されているのみである。一部の症例で,他の造血器腫瘍の併発が報告されているが,LCS治療後にICUSからAMLへ進展した症例の報告はこれまでにない。貴重な症例と考え報告する。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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