日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):機能性消化管障害の新時代
機能性消化管障害と腸内環境―腸内細菌,食事因子,酸,胆汁酸から―
鈴木 秀和
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2020 年 117 巻 10 号 p. 840-855

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抄録

機能性消化管障害(Functional Gastrointestinal Disorders:FGIDs)の成因には,多かれ少なかれ,腸内環境が影響することが考えられる.腸内環境は,腸内細菌叢とその代謝物,毎日摂取されるさまざまな食事成分とその代謝物,消化管から分泌される酸,消化酵素,胆汁酸などで構成される極めて動的な複雑系である.腸内環境の変化により,消化管粘膜には,微小循環障害や微小炎症(low grade inflammation)がおこり,結果,消化管壁の透過性亢進をきたすとされる.この病態はleaky gutと呼ばれるが,これにより消化管の知覚過敏が招来されて,FGIDsが発症するとも考えられる.本稿では,FGIDsの病因に連なる腸内環境の変化をもたらす各因子について概説する.

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© 2020 (一財) 日本消化器病学会
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